頭蓋解剖物語

ボロボロ書きます。剥がれ落ちる私を。

2021-01-01から1年間の記事一覧

おてがみ。

拝啓、四季は八回転。 吐息は力無く澄んで雪、探し物を思い出す季節。 ありもしない残り香を期待して、各地を巡ってみたはいいものの、結局、僕はここにいる。 君の墓前に僕はいる。 目覚めて起きた分岐点。過ぎた時間を後悔と呼んだ。白い布を現実と呼んだ…

清く正しく。

人から最初に言われるのは「楽観的」とか「勢いが凄い」とか「あんまり不自由なさそうね」とか。 立ち振る舞いをそうしているから、言葉遣いを使い分けてるから。そう見えているんだろうな。と、つくづく当然のことを思います。 私が住む家を見て、誰かが「…

一緒。

ざあざあと降る雨たちは、生まれた時から地に落ちることが当然で。その瞬間瞬間の生き様を、瞬く間もなく直滑降。 誰かが呼んだか水たまり。人が見惚れる逆転の世界。 身を寄せ合った、落ちた雨たち。映すは裏の空の青、絵のような空の事。 あの空には戻れな…

晴れの日の生き方

晴れの日の生き方を知らないんじゃない。雨の日しかなかっただけ。

悲しいけれど。

今日を全力で生きて明日を精一杯、生きよう。明日はどこにも、保証されていないけれど。

たとえ俺の世界を作っていた背中から,「お前さえ拾わなければ、いなければ」なんて言われても、俺は世界を愛してるぜ。 張り詰めた虚勢が、俺を強くしてくれるから。

もとめたがり。

一人前。というのは、果たしてどこからなのだろうか。言われてみて、スッと答えられる人は果たして一人前なのだろうか。 少し前、駅にて「今日の仕事は楽しみですか?」と言う文字の広告に批判が殺到する。という事があった。きっと、これに怒りをぶつけた人…

闘病しない日記。

月一で入れ替わる躁鬱の人格が、健忘症でその記憶を持ち運びえない。なんて状況を異常と捉えずなんと呼ぶのか。 高校3年の時期から,かれこれ過ぎた幾星霜。それっぽいことをしれっと書くタイプの自称物書きになった。ものを書くにつれ,自分の書きたいよう…

うそとあしをつく。

「僕らは二本の足で,しっかり立っています」 なんて言える人は何人いるのだろうか。 人という感じは、支え合って出来ている。とはよく言うけれど、一画目を自我とするなら、二画目は一体全体なんなんだい?「一画目も二画目も人だよ」なんて言わないでくれ…

うしろひたむき。

外を歩くことが増えたのは,4年越しに少しだけ、変わった自分を見せてやりたいから。帰る基準の一つになっていた補導は実際問題あまり見る光景ではなかったし、大人になって責任が自分に帰属する。と考えてから私は夜を歩くようになった。 夕焼け小焼けの小…

雨を浴びる。

合羽の上を滑る雨粒、履き慣れないブーツで水溜りを踏み鳴らす。両手を広げれば広がる雨音。傘の中に広がる、雨の世界から切り取った自分だけの世界も好きだが、真っ向から浴びる雨の世界の青さも好きだ。 見上げる空は深い灰色。星を数える隙間も無い空を見…

世界の繋げ方。

僕のことを知っている世界がある。しかし、僕自身がその世界からリタイアしてしまって、悲しませてしまうとする時、その世界が僕の事を忘れて、笑い合って、繋がりあって、続いていくためにはどうすれば良いだろう。 降りかかる仮の父からの暴力に耐えながら…

夏の書留

今年も夏が終わったと。そう感じたのは台風が過ぎ、取り残された湿り気が夏の熱を彷彿とさせた時だった。 耳をすませば、世界は秋に囲まれていた。真向かいの縁側から響く風鈴も、甲高い蝉の音も。ひどく寂しくなったと共に、今年の夏は長崎に行ったり海に行…

血も泪もあるんだよ。

愛したからこそ、出てきてくれるのだと思う。あなた達も、綺麗な泪も。 誰かのためでないと本気を出すことができない。誰かのため、という名目がなければ本気を出すこともできない。そんな風に考えていた自分が、その生き方を変えられて死んだのは、もう6年…

3•1

枝垂れた紫陽花、積む白雲。軽快な空の青の中、地中の蝉が騒ぎ出す。 流るる滝汗、上がる息。暑さがひしめく山道で、交わる小指と口約束。 うつむくあなたと新幹線。浮かんだまんまの夏休み、まだ短い赤い糸。 最後の学生、四年間。久しぶりの君、抜けた垢。…

梅雨の残り香

もう夏だと捉えるか、まだ梅雨だと捉えるか。そう問われたならば、僕は、まだまだ梅雨だと言いたい。 履かなかった長靴、マジックテープの擦れた傘、干したままの雨合羽。そのどれもがまだ、梅雨を知らずに眠っている。彼らを起こすべき時は多々あったが、そ…

熱中症

受け入れる。という事は、絶望による諦観か、はたまた希望のための忍耐なのか。 刺すような暑さに包まれる、夏の始まり、日にさらされたサドルに腰かけてペダルを回す。その時、日に焼ける事をいとわず、汗をかく前に到着しようとするのか。はたまた、日焼け…

冬中花痩

明朝、窓から差し込む陽が横たわる僕の体に降り注ぎ、目が覚めた。 けだるい体を起こして、今日一日を考える。快適な一日にするために、やるべきことを放り投げて一日だけでも悪い子になってやろうか。なんて事を考えている内に、一羽の鳥が窓枠に着地した。…

木古

雨を受けた春の輝きが脳裏に鮮明に残っている。あれだけ泣いていた空は晴れ渡り、額に流れるのが汗に変わった。 あれだけ咲いていた春の花々も、夏の暑さに萎れて、残ったのは細々と枯れるのを待つばかりで、その結末を辿る花は、黒く伸びる影を受け入れるよ…

理解。

外に躍り出た鉄筋、タイルの間を走る苔、役目を終えた蛍光灯。 こんなところを待ち合わせ場所にしたハイセンスな君と、誘蛾灯に寄り添うかのように、フラフラと現れたナンセンスな僕、目配せをして、手を握って、点かなくなった緑の灯の下を、外に付けられた…

書留

彼はまともな人でした。 彼女は素敵な人でした。 そんなの、とっくに知っている。 彼がそんな状況だったなんて。 彼女にとって苦だったなんて。 そんなの、誰も知りえない。 今はただ、悔しいです。 心の整理が付きません。 そんな言葉、よく言えたな。 きっ…