頭蓋解剖物語

ボロボロ書きます。剥がれ落ちる私を。

うしろひたむき。

 外を歩くことが増えたのは,4年越しに少しだけ、変わった自分を見せてやりたいから。帰る基準の一つになっていた補導は実際問題あまり見る光景ではなかったし、大人になって責任が自分に帰属する。と考えてから私は夜を歩くようになった。

 夕焼け小焼けの小焼けとはなんだろうか。なんてしようもないことを考えながら、茜の空の下を歩く。子供の頃、背に刺す茜を感じながら帰路につくものだから、子供を見送った茜が、30分足らずで黒い夜に変貌することを知らなかった。被さる黒を払うハイビーム。開いてなかった店の夜の顔。茜を駆けてたはずの鴉は、凝らせばゴミをつついていた。

 酒もタバコもSNSも。今ではぱったり、息を潜めた。とっくのとうに落ちた酒だけ、たまに言われて注ぐだけ。キツいアルコールの匂いが鼻を掠めるだけ。

 歩きながら思い返す。古き良き幼少期。楽しかった頃の記憶。あの日の友とはすれ違ってて、こんな私とは打って変わって、ついぞ4月に飛び立って。

 いつからこんなに差が付いたのか。追い求めるにも明白だ。きっと私は満足していた。立派な目標を立てて、遂行するための余裕を持って。将来を確立した今の自分が。将来の自分よりも愛おしくて仕方がなかった。

 後ろは気にしていなかった。しかし前も,見ていなかった。上に掲げたタスクに一目惚れしていた。だからずっと、足踏みしていた。

 ここからは、きっといつまでも。泥の道。跳ねた雫も、足跡も、乾いて残る。軌跡の証。知って変われる、なんて毛頭。思っちゃいない。のだけれども、きっと。見える色くらいは変わるさ。なんて信じて。