頭蓋解剖物語

ボロボロ書きます。剥がれ落ちる私を。

2020-01-01から1ヶ月間の記事一覧

はかなき

時折、自分が分からなくなる時がある。 降り止まぬ雨滴を窓から眺めている時。 サドルの上で周囲に注意を巡らせている時。 大きな書店の中で好きな作家を探している時。 目が覚めた朝の天井を見上げている時。 何かを眺めている時。何かを見ている時。そんな…

天使の羽。

それは確かに落ちていた。 砂塵舞う小さなベランダで、とうに干からびてしまった植物の前で、寂れた物干し竿に引っかかって、その存在を示していた。 それは、小さな小さな白い羽。光を放ち、綿のような質感を持った羽。その持ち主は恐らく、大きく空を飛ぶ…

日記に書いてあったから。

空っぽの感覚だった。 生と死の狭間というのは月並みな言葉だ。 全身が冷え切っていた。右手だけが動き、左手は枕にしたため血液が絞られていた。 右手で身体をつねると、私の体では無い気がした。 雪も灰もつもらぬ冬。木枯し貫き鳴く閑古鳥。透明な吐いた…