頭蓋解剖物語

ボロボロ書きます。剥がれ落ちる私を。

 ただいま。と書くことが怖くなっていた。

 あんな文を書いて、またのうのうと戻ってきて良い物かと悩んでいた。

 飲んだ薬は確かに、今までの私の生活に終止符を打った。

 それで幸せなのかと、思うにはあまりにも空虚な物であった。

 日記。私という人間が20回近く続いた日記。終わらせようと至った彼がそれでも最後に書いた「私が一番辛い」という言葉が、他人のような自分のような。揺れ動くけれど確かに記憶に残っている。黒い手帳の中で嘆いている自分が見える。

 

 はっきり言って、複雑。

 

 帰って来た家。ただいまと告げた家族。いつも通りのバイト先。何も知らない研究室。日常の中に身を沈めているのか、非日常の私が浮かんできているのか。きっと私だけが戸惑っていて、世界は常に流れていて、水面として捉えているのは私だけなのだ。

 

 落ち着かせようと頭を巡らす。手を動かして文を書く。1P小説が連なってきて承認欲が暴れ出す。

 

 要するに。そんな感じ。要するに。ただいま。私が僕たちを捨てることで、私は私になれました。