頭蓋解剖物語

ボロボロ書きます。剥がれ落ちる私を。

2019-08-12から1日間の記事一覧

理科室の中の眠り姫

桜の蕾が花開き、風と踊り空へ舞う。月曜の空は爽やかに晴れ渡り、入学式を経た新入生や入社式に参加した新社員といった新生活を始めた人々が歩みを進める。 そんな時、俺は橋の下で一つの植物を眺めていた。 いや、これは植物と呼んでいいのか。 アロエの様…

血で繋がれぬ貴方に。

「そろそろクリスマスの季節か……」 窓に積もる雪、男が一人で外を眺めながら感傷に浸る。 「何しみったれた顔してんのお前?」 突如、屋根裏から出て来たのはこの屋敷の居候だ。 「いいだろ少しくらい、私にだって人肌の恋しい時があるのさ」「俺がいるじゃ…

「ありがとう」

僕は化物。人間じゃない。 だから今日はトマトの被り物を被ろう。 真っ赤な実に白い光沢、少しばかりの青いへたが少しばかりいいアクセントになっていると思う。そんな被り物をかぶっても僕はしっかり周りが見える。 だから僕はいつも、被り物を被って外に出…

君は分かるのに。

午前5時の早起きにも慣れてきた、最近はいつもこの時間だ。漁業を営む両親ですら、まだ起きる時間ではない。というか俺はまだ船にも乗せて貰えるほどの腕が無い。 「お前はまだまだ未熟だからな。道具の使い方からだ」 父親の一言が俺の心に波を打って響く…